
「ジムの事業計画書には何を書けばいい?」「融資を受けるには、売上や必要資金をどう説明すればいい?」と悩んでいませんか。ジム開業では、コンセプトだけでなく、設備資金・運転資金・売上予測・借入返済まで数字の根拠をそろえることが重要です。
本記事では、ジムの事業計画書の書き方を記入例付きで解説し、売上・資金繰りの計算方法や融資に備えるポイントまで整理します。初めて事業計画書を作る方も、テンプレートへ落とし込める形で確認していきましょう。
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ジムの事業計画書を書く前に決めておくこと【基礎・事前準備】

事業計画書を書き始める前に、業態、ターゲット、出店地域、競合との差を整理します。矢野経済研究所の調査では、フィットネス施設経営企業を対象とした2025年8月時点の全国フィットネス施設数は13,876施設とされています。
全国の施設数は競争環境を見る材料の一つですが、自店の需要を示す数字ではありません。事業計画では、商圏内の人口や競合状況と、自店が提供するサービスを結び付けて説明します。
なぜジム開業に事業計画書が必要なのか
事業計画書の役割は、開業アイデアを数字と根拠に置き換え、実現可能性を検証することです。金融機関に提出する場合も、計画書だけで融資の可否が決まるわけではなく、経歴、自己資金、既存借入、各種見積書との整合性が問われます。
作成時は、少なくとも次の4点を一つの計画につなげます。
- 事業内容と収益モデル
- 設備資金・運転資金と調達方法
- 売上・経費・借入返済の見通し
- 開業後に計画値と実績値を比較する基準
「売上はいくらか」だけでなく、「その売上なら返済後も現金が残るか」まで確認できる形にすると、開業後の経営管理にも使えます。
ジムの業態・コンセプトとターゲットを決める
業態とターゲットは、「誰の、どんな課題を、どのサービスで解決するか」の3要素で整理します。パーソナルジム、会員制ジム、24時間型、女性専用、シニア向けなど、業態が変われば必要な設備、人員、営業時間、売上の計算方法も変わるためです。
たとえば「痩せたい人向け」ではなく、「運動習慣のない会社員に、仕事帰りの30分で継続できるトレーニングを提供する」のように、利用場面まで具体化します。ここまで定まると、必要なマシンの種類や広告で伝える内容も絞り込みやすくなります。
商圏・競合ジムを調べて差別化ポイントを明確にする
競合調査では、店舗数だけでなく、ターゲットが実際に比較する条件を並べます。最低限、次の項目を同じ基準で記録すると、自店が埋めるべき需要を整理しやすくなります。
| 比較軸 | 確認する内容 | 計画書への反映 |
| 料金 | 月会費・入会金・追加料金 | 自店の価格帯 |
| 利便性 | 営業時間・予約方法・アクセス・駐車場 | 利用シーン |
| 設備 | マシンの種類・台数・更衣設備 | 必要設備 |
| サポート | スタッフ常駐、指導、継続支援 | 提供サービス |
| 評価 | Googleマップ等の口コミ | 未充足ニーズ |
「競合が少ない」という事実だけでは需要の根拠になりません。競合の料金・設備・サポートと利用者の声を照合し、「既存店で満たされていない条件」を自店のコンセプトにつなげます。
【記入例付き】ジムの事業計画書の書き方

ここからは、日本政策金融公庫の「創業計画書」の主要項目に沿って、ジム開業時に何を書くのかを整理します。各欄を単独で埋めるのではなく、創業動機、経歴、サービス、必要資金、売上見込みが同じ事業計画としてつながっている状態を目指します。
公式様式には記入スペースの制約があるため、数字の根拠まで書き切れない場合は見積書や商圏分析、売上算定表などを別紙で補います。
1. 創業の動機・目的
創業の動機では、「なぜジムを開くのか」を経験と顧客課題につなげて説明します。筋トレが好きといった個人的な動機だけではなく、なぜその業態・地域・ターゲットを選んだのかまで一続きにします。
記載する内容は次の順序で整理できます。
- 自身の経験や問題意識
- その経験から発見した顧客課題
- 出店予定地で確認した需要や競合状況
- 自店が提供する解決策
【NG例】
「昔から筋トレが好きで、自分の知識を活かして理想のジムを開きたいと思ったからです。」
【OK例の方向性】
「大手ジムで5年間トレーナーとして勤務し、中高年のお客様から『マシンの使い方が分からない』『一人では継続しにくい』という相談を受けてきました。出店予定地では、低価格の24時間型ジムがある一方、スタッフから継続的な運動サポートを受けにくい時間帯があることを現地調査で確認しています。そこで、運動初心者や中高年層を対象に、利用時のサポートを受けやすいジムを開業します。」
経験→課題→地域の状況→解決策の順に書くと、創業理由と事業内容の関係が伝わります。
2. 経営者の略歴・経験・実績
この欄では、ジムを継続して運営できる根拠となる経験を示します。トレーナー経験だけでなく、店舗管理、接客、営業、集客など、開業後の業務と結び付く経歴を抽出します。
たとえば、次の経験が対象です。
- トレーナー・運動指導の経験
- 店舗運営やスタッフ管理の経験
- 接客・営業・顧客対応の経験
- 保有資格
- 集客やSNS運用の実績
フィットネス業界が未経験なら、未経験である事実を隠すのではなく、異業種での店舗運営経験、競合調査、現場見学、体験会など、開業までに行った準備を記載します。経験者や専門家と連携する場合も、その役割を説明すると運営体制が明確になります。
3. 取扱商品・サービスとセールスポイント
提供するメニュー、料金、営業時間、利用方法と、競合との違いを記載します。「丁寧な指導」のような抽象表現だけで終わらせず、顧客が実際に受けるサービスまで具体化します。
たとえばパーソナルトレーニングなら、目標や運動経験、当日の体調、フォームを確認し、重量・回数・動作範囲などを調整する流れまで示すと、サービス内容を判断しやすくなります。
安全管理についても、運営方法として記載します。事業計画向けに整理すると、主に次の4点です。
- 入会時に必要な範囲で健康状態や既往歴を確認し、利用目的を説明する
- 胸の痛み、失神、強い息切れなどがある場合は運動を中止し、必要に応じて医療機関への相談を案内する
- フォームを維持できない場合は、重量・回数・動作範囲・休憩時間などを調整する
- 事故やヒヤリハットを記録し、再発防止策へ反映する
AIやアプリを使う場合は、予約、トレーニング記録、継続フォローなど用途を明示します。健康情報を扱う場合は、取得する情報、利用目的、保存や閲覧の範囲、外部サービスへの提供・委託の有無も整理します。
4. ターゲット・集客方法
集客方法は、Web広告、Googleマップ、SNS、紹介、チラシなどの媒体名を並べるだけではなく、「問い合わせ→体験予約→来店→入会」の数字につなげます。
本記事の試算例では、次の条件です。
- 月間問い合わせ:20件
- 体験予約率:70%
- 来店率:80%
- 入会率:50%
20件×70%×80%×50%=5.6人となり、月間新規入会者は約6人と試算できます。
これは市場平均ではなく、計算方法を示すための例です。実際の計画では、問い合わせや入会の計上基準を統一し、媒体別・月別の実績と比較できる数字にします。
5. 取引先・取引関係
取引先は名称だけでなく、支払い・入金のタイミングまで整理します。利益が出る計画でも、支払いが入金より先なら、開業時に必要な現金は増えるためです。
ジムでは、たとえば次の条件を確認します。
- マシン会社:購入・リース等の別と支払時期
- 内装会社:着手金・中間金・完了時支払いの時期
- 決済会社:手数料と売上の入金サイクル
- 業務委託トレーナー:報酬体系と支払時期
月会費についても、売上を計上する時期と実際に現金が入る時期を区別すると、後で作成する資金繰り表との整合が取れます。
6. 従業員・人員計画

代表者、正社員、アルバイト、業務委託を分けて記載します。日本政策金融公庫の創業計画書の従業員欄には、創業に際して3か月以上継続して雇用する予定の従業員数を記載するとされています。
雇用契約を結ばない業務委託トレーナーは従業員欄と混同せず、必要に応じて別紙の運営体制や外注費で説明します。
人数を記入した後は、その体制で営業時間と予定するサービス量を実現できるかも確認します。パーソナルジムなら、トレーナー人数と1日の対応枠から、月間セッション数の上限を逆算できます。
7. 借入状況
既存借入は事実に基づいて整理し、借入先、残高、月々または年間の返済額を把握します。事業性借入だけでなく、申込人や法人代表者に該当する住宅、車、教育、カード等の借入も確認します。
新規融資後は、既存借入と新しい返済額を合わせて資金繰りへ反映します。標準的な売上計画だけでなく、売上が下振れした場合でも返済後の現預金がどう推移するかまで試算すると、返済計画の根拠になります。
8. 必要な資金と調達方法
必要資金は、大きく設備資金と運転資金に分け、自己資金、借入希望額、その他の調達方法と対応させます。
この欄では少なくとも次の関係を整理します。
必要資金=設備資金+運転資金
その総額を、自己資金・借入・その他の調達でどのように賄うかを示します。
補助金や助成金は、支出後の実績報告などを経て支払われる制度が多くあります。制度ごとに支払条件や入金時期が異なるため、開業日に利用できる現金として扱えるかは公募要領や窓口で確認します。
設備資金と運転資金の具体的な積み上げ方は、次のH2で詳しく扱います。
融資制度の条件や審査で見られる点、申込から融資までの流れは、ジム開業の融資ガイド|日本政策金融公庫の条件・審査のポイントと申込の流れで詳しく解説しています。
9. 売上・経費・事業の見通し
売上、変動費、家賃、人件費、広告費、水道光熱費、システム費などを組み合わせ、事業がどのように利益を生むかを示します。
「月商100万円」と結果だけを書くのではなく、たとえば会員制ジムなら「会員数×実質的な月会費」、パーソナルジムなら「客単価×セッション数」のように構成要素へ分解します。
100万円という数値も本記事上の説明例であり、市場相場ではありません。売上予測の具体的な作り方は、後述する「ジムの売上・収支・資金繰り計画の作り方」で整理します。
10. 自由記述・補足資料で計画を補強する
公式様式の記入欄だけで数字の根拠を説明できない場合は、別紙を使って補足します。本文を長くするよりも、担当者が数字の根拠を追える資料に対応させるほうが整理しやすくなります。
補足資料の例は次のとおりです。
- 商圏マップ・人口データ
- 競合比較表
- 物件の図面や写真
- 設備・内装の見積書
- 売上算定シート
- 12か月資金繰り表
事業計画書の目的は、テンプレートの空欄を埋め切ることではありません。「なぜこの売上になるのか」「なぜこの金額が必要なのか」を、本文と補足資料を往復すれば確認できる状態にします。
ジム開業に必要な資金と調達額の計算方法

開業資金は、「相場ではこのくらい」と一括で置くのではなく、何に・いつ・いくら支払うのかを項目ごとに積み上げます。事業計画書では、設備資金と運転資金を分け、それぞれ見積書や契約条件と対応させると金額の根拠を説明しやすくなります。
借入希望額も、先に希望額を決めるのではなく、必要資金から利用可能な自己資金などを差し引いて算定します。
設備資金|物件・内装・マシンなど開業前に必要な費用
設備資金は、原則として開業までに必要となる初期投資です。物件取得、内装、トレーニングマシン、什器、看板、決済端末、予約システムなどを分けて見積もります。
主な項目は次のとおりです。
- 物件取得費・保証金・敷金
- 内装、床、照明、看板などの工事費
- ラック、ダンベル、有酸素マシンなどの設備費
- ロッカー、シャワー、受付什器
- 決済端末・予約管理システムの導入費
マシンや内装は、見積金額だけで比較すると計画と実際の支出がずれることがあります。見積書では、本体価格に加えて搬入・設置費、納期、保守条件、支払時期まで確認します。
特に大型マシンは、物件の入口や廊下、エレベーターなどの搬入経路、設置スペースとの整合も必要です。計画書上の設備費と実際に導入する仕様が一致するよう、見積書や図面を補足資料として対応させます。
運転資金|開業後に売上が安定するまでの費用
運転資金は、開業後の売上だけでは毎月の支出を賄えない期間を支える資金です。設備を購入できても、家賃や人件費、広告費などを支払う現金が不足すれば、事業を継続できません。
対象となる支出は、家賃、人件費、広告費、水道光熱費、システム利用料、消耗品、外注費、修繕費などです。
運転資金を計算するときは、損益だけでなく「支払日」を月ごとに置きます。内装代の残金、広告費、家賃、カード決済売上の入金日などが同じ月に集中すると、帳簿上は利益が出ていても手元資金が不足するためです。
また、個人営業の場合、日本政策金融公庫の創業計画書における事業見通しについて、原則として事業主本人分を人件費に含めないとされています。事業経費と代表者個人の生活費を分け、家計側の支出も返済可能性を確認する材料として整理します。
自己資金と借入希望額の考え方
借入希望額の基本は、次の関係で考えます。
借入希望額のベース=設備資金+運転資金−開業時に利用できる自己資金等
重要なのは、「借りられる上限」から逆算するのではなく、開業に必要な支出、売上が安定するまでの赤字、借入返済を含めても月末の現預金が不足しない金額を求めることです。
自己資金についても、残高だけでなく、どのように形成した資金なのかを説明できる資料を整理します。必要な提出資料は申込み内容によって異なるため、実際の融資相談時には最新の案内を確認します。
設備費は、マシン本体だけでなく搬入・設置条件まで揃えて見積もると、事業計画書の数字と実際の導入費を合わせやすくなります。
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ジムの売上・収支・資金繰り計画の作り方

売上・収支・資金繰り計画では、売上から利益、借入返済、月末の現預金残高までをつなげて検証します。創業動機や商圏分析と比べて数字だけが強気になっていないか、設備・人員でその売上を実現できるかも合わせて確認します。
まず業態ごとの売上式を作り、提供できるサービス量から上限を確認します。そのうえで会員数の増減、固定費・変動費、現金の入出金を12か月単位で組み立てます。
業態別に売上の計算式を作る
売上の根拠は、業態に合わせて分解します。単価や会員数を一つの数字にまとめず、継続売上と一時的な売上も分けて扱います。
- 会員制ジム:月平均在籍会員数 × 実質平均月会費
- 24時間型ジム:月平均在籍会員数 × 実質平均月会費 + オプション売上
- パーソナルジム:1セッションあたりの客単価 × 実施セッション数
実質平均月会費は、定価をそのまま使うのではなく、割引プラン、休会、法人割引、キャンペーン価格などを反映した単価です。入会金やパーソナル指導料など毎月継続しない売上は、月会費とは分けて計算します。
売上予測は「最大提供能力」から上限を確認する
特にパーソナルジムは、営業時間、人員、予約枠によって売上の物理的な上限が決まります。目標売上から必要セッション数を逆算するだけでなく、「実際に何枠提供できるか」から上限を確認します。
本記事の試算条件は次のとおりです。
2人 × 1日5枠 × 月25日 × 稼働率70% = 月175セッション
1セッション8,000円なら、
175セッション × 8,000円 = 月140万円
となります。
この数字は市場平均ではなく計算例です。実際にはカウンセリング、清掃、スタッフの休憩、直前キャンセル、予約が夜間や休日に偏る時間帯もあるため、理論上の全枠をそのまま売上計画には使いません。
会員数は退会率を入れて12か月予測する
会員制ジムでは、新規入会者だけを積み上げると在籍人数を過大に見積もります。基本式は次のとおりです。
月末会員数 = 月初会員数 + 新規入会者数 − 退会者数
退会者数を試算する場合は、たとえば「月初会員数×想定月次退会率」として計算できます。退会率は固定値として扱わず、下振れ・標準・上振れの3シナリオで確認します。
| 項目 | 下振れ | 標準 | 上振れ |
| 期首会員数 | 50人 | 50人 | 50人 |
| 月間問い合わせ数 | 10件 | 20件 | 30件 |
| 新規入会者数 | 3人 | 6人 | 10人 |
| 月次退会率 | 5% | 3% | 2% |
| 月末会員数 | 50.5人 | 54.5人 | 59人 |
| 月平均在籍会員数 | 約50人 | 約52人 | 約54人 |
| 月間売上 | 50万円 | 52万円 | 54万円 |
この表も計算方法を示す簡易例です。実際には開業月から12か月分を月ごとに作り、前月の月末会員数を翌月へ引き継ぎます。売上は月末会員数ではなく、入退会時期を反映した月平均在籍会員数を使って算定します。
固定費と変動費から損益分岐点を計算する
損益分岐点では、「何人の会員がいれば営業上の赤字を避けられるか」を計算します。
損益分岐点会員数 = 固定費 ÷(会員1人あたりの実質売上 − 会員1人あたりの変動費)
変動費には、決済手数料、会員数に応じて増える消耗品、紹介特典、業務委託費などを含めます。広告費のように固定的にも変動的にも運用できる費用は、計画内でどちらとして扱うかを統一します。
本記事の計算例として、月平均在籍100人、実質平均月会費1万円の場合、月間売上100万円、固定費70万円、変動費8万円、営業利益22万円となります。
ただし、営業利益22万円がそのまま手元に残る現金ではありません。借入元本の返済、税金、設備支払い、修繕、カード決済の入金時期などは損益と現金の動きが一致しないためです。
損益計算と資金繰りは別物|12か月の現金残高を確認する
損益計算では利益が出ていても、月末の現預金が不足することがあります。そのため、事業計画では損益計画とは別に資金繰り表を作ります。
損益計算売上 − 費用 = 利益
資金繰り月初現預金 + 現金入金 − 現金支出 − 借入元本返済 = 月末現預金
借入金の利息は原則として損益上の費用になりますが、元本返済は原則として費用ではありません。一方、元本返済をすれば現金は減るため、資金繰り表には反映します。
12か月の資金繰り表では、少なくとも「月初残高」「売上入金」「借入入金」「設備支払」「家賃」「人件費」「広告費」「税・その他支払」「借入元本返済」「月末残高」を月ごとに並べます。
標準シナリオで月末残高がプラスでも、入会数が下振れした場合にどの月で現金が不足するかまで確認すると、必要な運転資金や借入希望額との整合性を検証できます。
融資で伝わるジムの事業計画書にするポイント

融資に備える事業計画書では、内容の多さよりも、「事業内容と数字の根拠を第三者が追えるか」が重要です。これまで整理した経験、ターゲット、売上、必要資金を別々に見せず、一つの事業として整合させます。
ここでは、計画の一貫性、数字の根拠、下振れ時の検証、補足資料の整理という4つの観点から確認します。
経験・創業動機・ターゲット・サービスを一本につなげる
経営者の経験、創業動機、顧客課題、ターゲット、提供サービス、競合との差別化は、一つの流れとして説明します。
たとえば、過去の経験と今回提供するサービスに直接の接点が薄い場合は、その間を埋める準備や実績が必要です。現場見学、競合調査、テスト提供、経験者との連携など、事業を実行するために何を補ってきたのかを示します。
事業計画書の各欄で説明が食い違っていないか、完成後に横断して確認します。
売上・必要資金には必ず根拠を付ける
売上や費用は、計算式だけでなく、その数字を置いた根拠まで対応します。
売上なら、商圏人口、競合料金、自店の最大提供能力、問い合わせ数、体験予約数、来店率、入会率などが根拠になります。費用では、物件の賃貸条件、内装工事、マシン、広告、システムなどの見積書・料金資料と計画書の金額を対応させます。
「月商100万円」と記載するなら、「どの単価・会員数・稼働率から100万円になるのか」まで追える状態にします。
標準シナリオだけでなく保守シナリオも確認する
標準シナリオだけでは、計画未達時の資金余力を判断できません。入会数の減少、退会率の上昇、広告費の増加などを反映した保守シナリオも作ります。
確認するのは、主に次の3点です。
- 月末現預金が最も少なくなる時期
- 固定費や投資計画を見直す余地
- 借入返済を続けるために必要な資金余力
「売上が下振れしても問題ない」と断定するのではなく、条件を変えた場合の現預金推移を数字で示します。
融資担当者に伝わる「数字の証拠ファイル」を作る
事業計画書の数字を裏付ける資料は、資料番号を付けて整理すると対応関係が明確になります。たとえば、次の8種類です。
- 資料1:物件概要・賃貸条件表
- 資料2:内装工事見積書
- 資料3:マシン・什器類見積書
- 資料4:競合比較表
- 資料5:商圏分析資料
- 資料6:集客テスト・体験予約等の事前実績
- 資料7:売上算定シミュレーションシート
- 資料8:12か月資金繰り表
本文の金額や売上根拠の近くに「※資料2参照」のように資料番号を添えると、どの資料で確認できる数字なのかを追いやすくなります。申込み時や面談時は、実際に求められる資料を確認したうえで必要なものを提示・提出します。
日本政策金融公庫の公式テンプレートを起点に作成する
事業計画書は、日本政策金融公庫の公式サイトで最新の創業計画書フォーマットを確認し、その様式を起点に作成します。
様式内で説明しきれない商圏分析、見積書、売上計算、資金繰りなどは別紙で補います。独自資料だけを先に作るのではなく、「公式様式に何を書くか」「どの数字を別紙で証明するか」を対応させると整理しやすくなります。
最新の様式や必要資料は、実際の申込み時点で日本政策金融公庫の公式案内を確認します。
ジムの事業計画書についてよくある質問

事業計画書を作成するときに迷いやすい、資料の分量、未経験からの開業、売上予測のデータ、専門家への依頼について整理します。
ジムの事業計画書は何ページくらい必要?
補足資料に「何ページなら正解」という決まった分量はありません。日本政策金融公庫の公式様式は表面・裏面程度の分量ですが、商圏分析や競合比較、設備見積書、売上算定、資金繰りまでを様式内だけで説明するのは難しいため、必要な論点を別紙で補う構成が現実的です。
ページ数を増やすこと自体を目的にせず、本文中の数字を確認できる資料を担当者が追いやすい順序で添えます。
ジム経営が未経験でも事業計画書は作れる?
ジム経営が未経験でも、事業計画書を作成して融資の相談・申込みを行うことはできます。ただし、融資の判断は事業内容、資金計画、経験、準備状況などを踏まえて個別に行われます。
未経験の場合は、現場見学、競合調査、開業前の体験会、小規模なテスト販売、経験のある業務委託トレーナーとの連携など、実行力を補う客観的な材料を整理します。「経験がない」で終わらせず、「不足する経験をどう補っているか」を説明します。
売上予測にはどの統計を使えばよい?
全国の市場規模だけに依存せず、公的統計、民間の市場調査、出店予定地の商圏人口、競合調査、自店の問い合わせや体験予約などを組み合わせます。
特に自店の売上を説明する際は、全国市場の伸びよりも、出店地域と自店の提供能力に近いデータを優先します。また、複数年の統計を比較する場合は、調査対象や施設の定義、集計方法が同じかも確認します。
税理士・行政書士などの専門家に依頼すべき?
自分で作成するか専門家へ依頼するかは、相談内容と自分で対応できる範囲によって判断します。税務、物件契約、内装工事に伴う消防・建築上の確認、雇用・業務委託に関する労務など、論点によって相談先は異なります。
必要な届出や確認事項は、物件、サービス内容、自治体の運用によって変わります。専門家へ計画書作成を依頼する場合でも、融資面談では事業内容や売上の根拠を自分で説明できる状態にしておきます。
まとめ|数字の根拠まで説明できるジムの事業計画書を作ろう
ジムの事業計画書では、コンセプト・ターゲット・競合を整理したうえで、自身の経験、提供サービス、必要資金、売上見込みを一つの計画としてつなげます。
特に融資に備える場合は、「売上はいくらになるか」だけでなく、その数字を会員数・単価・稼働率などに分解し、見積書や商圏分析、競合調査と対応させます。さらに、経費、借入返済、月末の現預金残高まで12か月で確認すると、必要な運転資金も判断しやすくなります。
設備調達も、購入だけで決める必要はありません。購入・リース・レンタルを比較し、初期支出、月々の支払い、契約条件、保守、資金繰りへの影響まで事業計画へ反映します。
物件の広さや予算からマシン構成を具体化すると、設備見積もりと事業計画の数字をすり合わせやすくなります。
ジム開業に向けて、フィットネスジムのプロ経営陣に無料相談してみる
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