
「ベンチプレスでもパワーグリップを使えるのか?」と疑問に思う方は少なくありません。パワーグリップは主に、背中を鍛える種目などでバーの保持を補助する目的で使われるトレーニングギアです。
一方で、製品によってはベンチプレスなどのプッシュ系種目での使用方法も案内されています。ただし、ベンチプレスではプル系種目と使い方や目的が大きく異なるのがポイントです。手首をしっかり支えることが主目的なら、リストラップとの機能の違いを理解したうえで選ぶことが欠かせません。
パワーグリップはベンチプレスで一律に使えないわけではなく、対応した製品も存在します。メーカーが推奨する使用方法を事前に確認して正しく活用しましょう。
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パワーグリップはベンチプレスでも使える?

パワーグリップはプル系種目で使うイメージが強いため、ベンチプレスでも使えるのか疑問に感じる人は少なくありません。実際には、バーの保持を補助するのが基本的な役割ですが、製品によってはプッシュ系種目にも対応しています。
ただし、引く種目とは使い方が異なる点には注意が必要です。ここでは、パワーグリップの役割や対応製品、ベンチプレスでの使い方を順番に見ていきましょう。
パワーグリップは主にバーの保持を補助するギア
パワーグリップは、手首に巻き付けるストラップ部分と、手のひらから指先方向へ伸びるベロ状のグリップ部分で構成されるギアです。多くの場合、このグリップ部分をバーベルやダンベルのバーに巻き込み、その上から手で握り込むように装着します。
おもにデッドリフトやベントオーバーローイング、ラットプルダウンといった「引く(プル系)」種目で広く使われてきました。背中の筋肉を限界まで追い込みたい局面において、先に前腕や握力が疲労してバーを保持しにくくなる場面で、握力による制限を軽減することが主な役割です。
なお、類似する握力補助具であるリフティングストラップとパワーグリップは、どちらもバーの保持を助けるアイテムですが、構造や巻きやすさは同じではありません。ベロ状のグリップを使うタイプには、一般的なリフティングストラップのように長い布を何周も巻き付けず、比較的セットしやすい製品もあります。
ベンチプレスに対応した製品もある
「パワーグリップは引く種目専用のギアだから、押す種目では一切使えない」と一律に決めつけることはできません。製品のなかには、ベンチプレスでの使用方法をメーカーが案内しているものもあります。
たとえばVersa Gripps(バーサグリップ)の公式使用方法では、ベンチプレスやオーバーヘッドプレスなどのプッシュ系種目における装着方法や使い方が明確に案内されています。
したがって、「ベンチプレスでは絶対に使用不可である」「危険だからプッシュ系では一切使わないほうがよい」と断定する必要はありません。自分が使っている、あるいは検討している製品がプッシュ系種目に対応しているかどうかを確認することが第一歩となります。
プル系とプッシュ系では使い方が異なる
パワーグリップを扱ううえで最も理解しておきたいのは、プル系種目とプッシュ系種目ではギアの当て方や役割が根本から異なるという点です。同じギアであっても、動かす方向によってバーと接する位置関係が変わります。
プル系種目では、グリップ部分をバーの奥側から手前へ巻き込み、バーと手のひらの間を締め込むようにして保持力を高めます。一方、プッシュ種目に対応した製品をベンチプレスで使うときは、グリップ部分をバーに巻き込まず、手のひら側へ平らに添えてバーを受け止める形です。
- プル系:バー → ベロを巻き込む → 握る
- ベンチプレス:手のひら → グリップ部分 → バー
このように、ベンチプレスではバーを巻き込んで握力を代行させるのではなく、手のひらとバーの間にパッドを挟み込むような配置になります。
ベンチプレスでパワーグリップを使う目的

ベンチプレスでパワーグリップを使う場合、プル系種目のように握力を補助することが主な目的ではありません。手のひらとバーの間にクッションを作ったり、製品によっては手首周辺に支持感を持たせたりする役割が中心です。用途を正しく理解しておくと、自分に必要なギアか判断しやすくなります。以下、ベンチプレスで期待できる主な役割を具体的に紹介します。
手のひらとバーの間をパッドとして支える
ベンチプレスに対応したパワーグリップを用いる主な目的のひとつは、手のひらとバーの間にクッション層を作ることです。
高重量のバーベルを握り込むと、バーのローレット(ギザギザとした滑り止め加工)や強い圧力により、手のひらへ強い当たりを感じることがあります。プッシュ種目に対応した製品では、グリップ素材が手のひらとバーの間に入り、直接の当たりを和らげるためのクッション層となる設計です。Versa Gripps公式でも、プッシュ種目では手のひら側をパッドのように支える用途が案内されています。
ただし、これによって手のひらのマメを完全に防げる、あるいはケガや痛みが完全になくなると断定できるわけではありません。手のひらをパッドのように支えるための選択肢のひとつとして捉えるのが適切です。
製品によっては手首周辺も支えられる
パワーグリップは手首部分を厚手のストラップで固定して装着するため、手首周辺に一定の支持感が得られる製品もあります。バーを受け止めた際に手首周りが適度にホールドされることで、安心感を得られる場合もあるでしょう。
パワーグリップは手首周辺にもストラップがありますが、リストラップのように手首支持へ特化したギアではありません。手首の支持を優先したい場合は、専用のリストラップと比較して選びましょう。
ベンチプレスでは握力補助が主目的ではない
デッドリフトなどのプル系種目では、ターゲットとなる筋肉より先に握力が限界を迎えてバーを落としてしまうことがセット終了の直接的な要因になります。この場面でバーを保持し続けることが、パワーグリップ本来の役割です。
一方、ベンチプレスでは、プル系種目のようにグリップ部分をバーへ巻き付けて保持力を補助する使い方はしません。そのため、ベンチプレスではパワーグリップ本来の握力補助よりも、手のひらを支えることなどが主な用途になります。
ベンチプレスでパワーグリップを装着しても、「パワーグリップを着ければベンチプレスの重量が伸びる」といった効果を期待して使うギアではない点を認識しておく必要があります。
パワーグリップとリストラップの違い
パワーグリップはバーの保持補助に使われる
パワーグリップは、主に背中などのプル系種目においてバーの保持を補助するために設計されたギアです。
手首のカフ部分から手のひらを覆うようにベロ状のグリップ素材が伸びており、バーへ巻き付けることで握力の消耗を大幅に抑えます。ベンチプレスに対応しているモデルであれば、グリップ部分を手のひら側に敷くことでクッションパッドのような使い方も可能ですが、基本構造はあくまでバーをホールドするためのものです。
リストラップは手首の支持を目的とする
リストラップは、手首の関節周囲に強固に巻き付けて使用するサポーター形状のギアです。ベンチプレスやショルダープレスといった、重い負荷が手首の関節へ直接かかるプッシュ系種目で広く活用されています。
パワーグリップと異なり、手のひらを覆うベロやパッドは一切付いていません。伸縮性のある硬めのバンドを手首の関節をまたぐように巻きつけることで、バーの重みで手首が過度に反り返るのを抑えるために用いられ、関節のブレを支持することが主目的となります。
| 比較項目 | パワーグリップ | リストラップ |
|---|---|---|
| 主な用途 | バーの保持補助 | 手首の支持 |
| 使用されることが多い種目 | デッドリフト・ローイングなど | ベンチプレス・ショルダープレスなど |
| ベンチプレス対応製品 | 対応製品あり | 広く使用される |
| 手のひらとの接触 | 製品によってパッドとして使用 | 基本的に覆わない |
| 握力補助 | プル系で使用 | 主目的ではない |
| 手首周辺の支持 | 製品による | 主目的 |
リストラップを付けてもベンチプレス重量が必ず上がるわけではない
手首をしっかり固定できるリストラップですが、着用すれば誰でもベンチプレスの挙上重量が向上するわけではありません。
トレーニング経験者18人を対象にベンチプレス時のギアの影響を比較した2024年の小規模な研究では、リストラップの有無によって1RM(1回だけ挙げられる最大重量)や挙上パワー、バーの挙上速度に有意な改善は確認されませんでした。一方で、リストラップを着用している条件では、挙上中の主観的な安定感が高まったことが報告されています。
リストラップはあくまで手首を支持するための補助具であり、身につけるだけで記録が自然と伸びる道具ではないことを理解しておきましょう。
ベンチプレスでのパワーグリップの使い方

ベンチプレスでパワーグリップを使う場合、プル系種目のように握力を補助することが主な目的ではありません。手のひらとバーの間にクッションを作ったり、製品によっては手首周辺に支持感を持たせたりする役割が中心です。
用途を正しく理解しておくと、自分に必要なギアか判断しやすくなります。以下、ベンチプレスで期待できる主な役割を具体的に紹介します。
プッシュ種目に対応しているか確認する
ベンチプレスでパワーグリップを使用する際は、まず手元の製品がプッシュ種目に対応しているかを必ず確認してください。
製品のパッケージや取扱説明書、メーカーの公式商品ページを見て、ベンチプレスやプレス種目での使用が案内されているかを確かめます。同じ「パワーグリップ」という名称でも、メーカーや製品によって素材の厚み、ベロの硬さ、想定用途はさまざまです。
グリップ部分を手のひら側に置く
プッシュ種目に対応している代表的な製品であるVersa Grippsを例に挙げると、装着方法はプル系種目と大きく異なります。
プル系種目のようにグリップ部分をバーへ巻き込んではいけません。手首にストラップを固定したら、ベロ状のグリップ部分を手のひら側に沿わせて平らに置き、その上からバーベルのバーを受け止める位置へ手を合わせます。
すべてのパワーグリップがこの方法で使用できるとは限らないため、必ずお使いの製品の指定手順に沿って装着してください。
バーは通常どおり握る
グリップ部分を手のひらに添えたら、その上から通常のベンチプレスと同じように親指を回してバーをしっかり握り込みます。
パワーグリップを挟んでいるからといって、握る力を極端に抜いたり、ギアだけにバーの保持を任せたりしてはいけません。手のひらの適切な位置(手根部付近のバーを受ける位置)にバーが乗っているか、手首が不自然に反り返っていないか、前腕の骨の上にしっかりバーの荷重が乗っているかを丁寧に確認します。
軽い重量から使用感を確認する
パワーグリップを挟んでバーを握ると、グリップ素材の厚みの分だけ普段よりもバーが太く感じられたり、手のひらの感覚がいつもと違ったりすることがあります。
いきなりメインセットの高重量を扱うのは避け、まずはバーベルシャフトのみ、あるいは軽めのウォーミングアップ重量から感触を確かめましょう。違和感や滑りやすさがないか、手のひらのどの位置に圧力がかかっているかを段階的にチェックすることが安全なトレーニングにつながります。
ベンチプレスでパワーグリップを使うときの注意点

ベンチプレスでパワーグリップを使うなら、装着するだけで安全性が高まると考えるのは避けたいところです。製品ごとに適切な使い方が異なるうえ、手首の痛みをギアだけで補おうとすると原因を見落とす可能性もあります。
また、高重量を扱う種目だからこそ基本的な安全対策も欠かせません。ここからは、使用前に押さえておきたい注意点を解説します。
メーカーが案内する方法を優先する
トレーニングギアを安全に扱うための大原則は、製造メーカーが推奨している使用手順と注意書きを最優先することです。
パワーグリップはメーカーによってベロの形状、摩擦力、手首ストラップの構造が異なります。他社製品の解説動画や一般的な使い方を自己判断でそのまま当てはめるのではなく、自分が使っている製品の公式マニュアルや商品ページに記載された注意点に従って使用してください。
手首の痛みをギアだけで解決しない
「ベンチプレスで手首が痛むからリストラップを巻く」「パワーグリップを挟んで痛みを防ぐ」といったように、痛みの原因をギアの有無だけで解決しようとするのは危険です。
手首に痛みや違和感がある場合は、手首の角度やバーの持ち方、重量設定、フォームなども見直しましょう。ただし、手首の痛みにはさまざまな原因があるため、フォームの修正だけで解決できるとは限りません。
なお、手首の強い痛みや違和感が続く場合は、無理にトレーニングを継続せずセットを中止してください。痛みが引かない場合は専門の医療機関を受診し、医師の診断を受けることが重要です。
セーフティを適切に設定する
パワーグリップやリストラップなどの補助ギアを使用しているかどうかにかかわらず、ベンチプレスを行う際は必ず安全対策を徹底しなければなりません。
パワーラックで行う場合は、通常の可動域を妨げず、挙上に失敗した際にはバーを受け止められる高さにセーフティを設定します。また、自己ベストに挑戦する際や限界まで追い込むセットでは、適切な位置に補助者を配置することも検討してください。
パワーグリップとリストラップはどちらを選ぶ?

ベンチプレスを中心としたトレーニングにおいて、パワーグリップとリストラップのどちらを選ぶべきかは、自分がギアに何を求めているかによって決まります。以下の判断基準を参考に、自身のトレーニング目的に合った方を選択してください。
| 目的・悩み | 選択肢 |
|---|---|
| 手のひらとバーの当たりが気になる | ベンチプレス対応パワーグリップなど |
| 手首を支持したい | リストラップ |
| デッドリフト・ローイングにも使いたい | パワーグリップ |
| ベンチプレスの重量を伸ばしたい | ギアだけでなくフォーム・トレーニング設計を確認 |
| 手首に痛みがある | 重量・フォームを見直し、無理に継続しない |
手のひらへの当たりが気になる場合
バーベルの強い圧迫感やローレットの感触が直接手のひらに当たり、集中が途切れる場合は、プッシュ系種目に対応したパワーグリップが選択肢になります。手のひらとバーの間にグリップ素材を挟めるため、直接の当たりを和らげたいときに使いやすいでしょう。
手首の安定感を高めたい場合
ベンチプレス中に手首がグラつく、手首が過度に反り返ってしまう感覚を抑えたいという場合は、リストラップを優先して検討します。これは「パワーグリップの手首保護機能が劣っている」という意味ではなく、リストラップが関節の支持に特化して作られているためです。手首の支持を主目的にする場合は、リストラップが選択肢になります。
デッドリフトや背中トレにも使いたい場合
ベンチプレスだけでなく、デッドリフトや懸垂、ローイングなどの背中トレーニングも日常的に行い、ひとつのギアを兼用したい場合は、パワーグリップが候補になります。プル系種目では握力補助を中心に使い、対応製品ならベンチプレス時にも手のひらを支える用途へ回せるのが特徴です。
パワーグリップとベンチプレスに関するよくある質問
ベンチプレスでパワーグリップを使う際は、重量への影響や手首の固定、リストラップとの併用など、細かな疑問も出てきます。初心者に必要なのか、手のひらが痛いときに使えるのか、大会で認められるのかも気になるところです。
ここでは、パワーグリップとベンチプレスに関するよくある疑問を順番に確認していきます。
パワーグリップを使うとベンチプレスの重量は上がる?
パワーグリップの使用によってベンチプレスの最大挙上重量が向上するとする十分な根拠は確認できていません。ベンチプレスでは、パワーグリップ本来の握力補助をプル系種目と同じ形で利用するわけではないため、重量アップを目的に使用するギアとは考えないほうがよいでしょう。挙上重量を高めるためには、全身のフォームの最適化や計画的な負荷設定を見直すことが基本となります。
パワーグリップは手首を固定できる?
製品によって手首周辺を支える構造はあります。ただし、手首の支持を主目的とするギアはリストラップです。手首の安定感を重視する場合は、両者の用途を比較して選びましょう。関節のブレをしっかりと抑え込みたい場合は、手首専用に巻き付けるリストラップの方が適しています。
リストラップとパワーグリップは併用できる?
製品によっては物理的に併用できる場合がありますが、両方が必要とは限りません。まず「手のひらを支えたいのか」「手首を支持したいのか」を明確にすると選びやすくなります。手首部分が干渉することもあるため、目的に合う方を優先してください。
初心者にもパワーグリップは必要?
ベンチプレスを始めるための必須アイテムではありません。初心者はまず軽い重量でフォームやセーフティの設定を覚え、必要性を感じてから補助ギアを検討するとよいでしょう。手のひらの痛みが気になり始めたり、背中種目で握力が先に尽きると感じたりした段階で導入を検討しても遅くはありません。
手のひらが痛いときに使ってもよい?
プッシュ種目に対応した製品では、グリップ部分を手のひらとバーの間に置いて使用できます。ただし、強い痛みがある場合はギアだけで対処せず、握り方や重量設定も見直しましょう。皮膚表面の当たり感ではなく、手のひらの内部や関節に強い痛みがある場合は、無理に使用を続けず休養をとることが大切です。
パワーリフティング大会でも使える?
IPF(国際パワーリフティング連盟)の競技規則では、承認リストに掲載されたリストラップについて厳格な使用条件が定められています。一般的なトレーニング用パワーグリップが同様に使用できるとは限らないため、大会参加時は最新の競技規則と承認用品リストを確認してください。規則で認められていないアイテムを使用すると失格となる場合があるため、事前に確認しましょう。
まとめ|パワーグリップは目的に合わせてベンチプレスで使おう
パワーグリップは主にプル系種目で握力を補助するギアですが、製品によってはベンチプレスにも使用できます。目的に応じて、次のように選び分けましょう。
- 手のひらへの当たりを和らげたい:対応パワーグリップ
- 手首をしっかり支えたい:リストラップ
- 背中トレにも兼用したい:パワーグリップ
- 重量を伸ばしたい:フォームや負荷設定も見直す
パワーグリップは「ベンチプレスでは絶対に使えない」と一律に考える必要はありません。対応製品であれば使用できますが、プル系とは目的や装着方法が異なります。手のひらのサポートなのか、手首の支持なのかを明確にし、目的に合ったギアを選びましょう。
トレーニング環境を整えたい方は、レンタル対象のフィットネスマシンも確認できます。
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